こんな未来を想像してみよう!
患者様の全体像を捉えることができた!
いきなりですが、質問です!
あなたは患者様の全体像ってなにを書けばいいかわかりますか?
答えられましたでしょうか?
多くの場合、
「全体像ってなに?」
「全体像って何を書けばいいのかわからない!」
「そもそも全体像って必要なの??」
「なぜ評価として『全体像』という項目があるのかよくわからないけど、みんな載せているから載せた、、、」
なんて思うのではないでしょうか?
そこで、今回の記事では患者様の全体像を把握する必要性を知るのとともに、全体像の書き方をシェアしていきます。
こんな方におすすめ!
- 全体像を把握する目的が知りたい!
- 全体像を把握する時にみているポイントを知りたい!
- 全体像を把握する際の注意点を知りたい!
そもそも全体像とは?
そもそも『全体像』とは、”患者様の人物像”を指します。
これは患者様と接しているときに、あなたが捉えた人物像を評価するものです。
そのため主観的な評価となります。
学生さんにとっては、『全体像』という言葉自体、あまり馴染みのない言葉かと思います。
ただ、臨床家にとってはとても重要な評価項目として捉えているため、実習でも話題にあがることでしょう。
それに加えてこの『全体像』は
実習で作成するレポートやレジュメでは、《理学療法評価》というセクションの一番最初に記載する評価となっていることからも、学生さんは避けて通れないものとなっています。
全体像の評価方法について
臨床でも重要だとわかったとはいえ、
「『全体像の評価』なんて学校では習わないし、
どんな評価があるのかそもそも知らないし。。。
なにを書いたらよいのかさっぱり!!」
といったように、全体像を評価するとなると、実習に来る多くの学生さんは頭を抱えます。
実は、そう悩むのも、うなずけるのです。
というのも、全体像の評価はROMやMMTなどのような決まった形式での評価がないのです。
なので全体像の評価は、時間を割いて、わざわざ評価するものではなく、
『関わっていく中で感じた”主観的な患者像”』を記載することが求められているのです。
全体像を評価する意味とは?
ここまで読んだ方の中には
「なぜ、そんな主観的な評価が重視されているのか?」
と疑問に感じるかもしれません。
これは、臨床へでてから気づいたのですが、リハビリをするにあたって、
患者様の病態やキャラクターなどの全体像を把握することが、治療内容を大きく変えるのです。
それだけでなく、患者様との距離関係も変わるため、使う言葉にも影響するのです。
なので私は
患者様の全体像を把握することを、『信頼関係を構築するための第一歩目』として位置付けています。
全体像を評価するための思考のヒント
そんな全体像はどうやって把握したらよいのか、私、長谷川が普段行っている思考で考えていきましょう。
私が実習生だった頃、
患者様の評価・解釈するときは
「あたかもあなたの "恋人" であるかのように想いなさい」
と言われることが多々ありました。
これはもちろん本物の恋愛対象として捉えるのではなく、
恋人となった人に対して "もっと知りたい"、"全部知りたい"という想いを持ちますよね。
そうした想いをもって患者様のことに対して興味を抱き、評価をしていきましょう。
という意味です。
実はこれ、全体像に繋がるとてもよい言葉なのです。
学生さんはこの言葉をヒントに全体像を把握してみましょう。
具体的に挙げると、
恋人を”知りたい” という想いから、
コミュニケーションを図っていると、恋人がどのような方であるのかを ”知る”ことができた 。
そして、それを友達に ”自慢" した。
「私の恋人はね、こんな方なんだよ!」
これを全体像の評価っぽく言い直すと、
患者様について ”評価” していく中で、
コミュニケーションを図っていると、患者様がどのような方であるのかを ”知る”ことができた。
そして、その患者様をレジュメを通して読者の方に”伝えた”。
「この患者様はね、こんな方なんだよ!」
これが全体像になっていくのです。
つまり、全体像の把握には患者様とのコミュニケーションが欠かせません。
むしろ、見た目では判断することができないことに重要なことが隠されている場合もあります。
あなたが関わったからこそ見えてきた”疾患や症状との関係性”も、そこから得られるかもしれません。
それを炙り出すためにも、全体像の把握は大事な評価なのです。
全体像の書き方について
ここまで読んで、勘のいい方は
全体像の重要さを感じるとともに、それ誰かに伝えることの重要さにも気づくことができたかと思います。
レポートやレジュメでは『全体像』の評価結果が《理学療法評価》の冒頭にくるので、
これから読む人にとっては患者様の印象を方向付ける大事なものとなっています。
たとえば、
『リハに積極的でない方』と記載があれば
「評価やリハをするのに色んな工夫をしたんだろうな」
「治療効果が得られにくいかもしれないな」
などといった視点でレジュメやレポートを読み進めることになります。
このように、読む側にとっては書き方一つ、使われている言葉一つで、
そのあとに続く内容の解釈が変わっていくのです。
ということで、
『全体像』を書く際は、そのあとの内容にリンクさせる必要があることから
”どんな印象で読みすすめて欲しいのか”
を考慮した上で記載するようにしましょう!
全体像を記載する際の注意点
最後に、学生さんが全体像を記載する際に注意しておきたいことをお伝えします。
それは、『全体像は評価するあなたの感情も含まれやすい』ということです。
もし、あなたがマイナスの一面しか見れなかったら、マイナスな印象を報告することになったり、
もし、患者様があなたの提供したものに対して不快を感じて拒否するようなことがあり、あなたがそれを不快に感じれば、「やる気がない」などと報告してしまったり…
となっていることが時々あるのです。
これが派生してしまうと、、、
我々人間は、実際に会ったこともないorまだ関わりの浅い人に対して、他人からの評価を聞くと、
その人と対面したときに、他人からの評価というフィルターを通して接してしまう生き物です。
たとえ、実際にあった時に感じた印象とそれが異なっていても、他人からの評価があることで
「この人は猫を被っている」とか「私は本性を知っているぞ」なんて思い込みをしてしまうことがあるのです。
これってとても怖いことですよね。
あなたが報告する『全体像』は、読者に与える『患者様の印象』を決めることとなってしまい、
”患者様のこれから”を大きく変えることとなりかねないのです。
なので学生さんは、こうした危惧を念頭に、全体像の評価結果を載せるようにしましょう。
最後に
長くなってきましたので、まとめます。
全体像を評価する際は、患者様が
・今、なにしているのだろうか。。。
・これまではどんな人生を送ってきたのだろうか。。。
・これからどんな生活をしていくのだろうか。。。
・なにをしたら、喜んでくれるだろうか。。。
・なにをしたら、嫌がるだろうか。。。
・今、どんな気持ちで過ごしているのだろうか。。。
ひたすらに”知りたい”と想い、こんなことを考えながら患者様の全体像を捉えてみてください。
そのためにも常にアンテナを伸ばし、どんなに小さなことにも気付けるようにしましょう。
信頼を構築するための第一歩目として全体像を把握して、患者様に寄り添ってみてください。
今日はここまで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
引き続き、『リハぶっく』をお楽しみください。