どうも、長谷川元気です。
今回は「車椅子生活の私が伝えたいこと」ということで、実際の車椅子ユーザーの方の大変貴重なご意見を元にまとめていきます。
「いきなり歩けって言われても、そんなん無理な話!あなた馬鹿じゃないの?」
リハビリに行こうとお誘いの提案をしていた私に、投げかけられた言葉です。
その方は車椅子での生活をされています。
その方のリハビリでは実用段階ではないものの、脚の筋力を落とさないためにも歩行練習を組み入れています。
患者様はそういうと平行棒を両手で掴み、足踏み等のウォーミングアップをし始めた。
その様子を見ていた私に、
「準備運動ってほんと大切なんだよ。動くためには身体も、心も準備しないと。」
と教えてくれる。
「リハビリしてもらって脚が軽くなるのはいいんだけど、歩くとなると、話は少し違うの。心がどうしてもついていかないこともあって、、、あんたにはわからないだろうけど。」
そんな憎まれ口をききながらもウォーミングアップを終え、笑顔で歩行練習へ取り組んでいる。
その後、よくよくお話しを伺ってみると、この方にとって”歩く”という行為は、多くの葛藤があるとのことでした。
よし、がんばるぞ。
もっと歩けるようになりたいな。
その一方で、
今日は歩けるかな・・・
歩けなくなっていたらどうしよう・・・
転ぶの怖いな・・・
などと、決して良いことばかりを思っている訳ではないため、心も落ち着かせる必要があるのとのことでした。
「大病になっちゃって初めてわかることなんだけど、心と身体が一致しないことが多い。下手をすると動くことがままならなくなってしまう。」
そんな気持ちはなかなか理解してもらえず、悔しい想いをたくさんしてきたようでした。
例えば、
・朝起きてすぐ動きたくても、睡眠剤のせいで頭がすっきりしないとき
・介護タクシーで送迎してもらった直後の、ずっと座りっぱなしのところから動くとき
・お風呂のあと
などは普段以上に解離がおきているとのことです。
そんなときはウォーミングアップをして、心と身体の準備をするようです。
また、その方は『何時にリハビリに行く』と事前に動くことが予定されている場合、その前にウォーミングアップを始めていて、私が来るときにはいつでも動ける準備をしてくださっているようです。
「この身体になってからは、動くことも一苦労だよ」
笑顔で言う患者様に、頭が上がりません。
医療者は自分の時間で物事を進めたがる傾向にあります。
もちろん、ひとりひとりの患者様により深く寄り添いたいという気持ちがないわけではありません。
しかし、そこには他にも待っている患者様のこともあり、限られた時間のなかで如何に多くの方の治療・ケアが行なえるかが問われてしまっている面もあります。
一方、患者様の立場になってみると、医療者に振り回される人生は本当は苦しいようです。
自分の時間、自分の感情などを抜きに物事を進められているような感覚に陥ることが多いとのことです。
すると、ますます心と身体は解離を起こし、『動かない』状態を選択したくなります。
その方は言いました。
「あなたがこのことを理解して関わってくれるだけでも、私は嬉しい」と。
医療従事者にとって”時間”という厄介な存在が、患者様との距離をより離している現状。
” 我々ができることは、他にはないのだろうか ”
そんなことを常に思いながら、リハビリテーションと向き合おうと決めた出来事でした。
今回の「車椅子生活の私が伝えたいこと」という題は、私が担当させていただいている患者様からのご意見を元に作製したものです。
この方は、私の知らない車椅子ユーザーからみた世界を教えてくれる先生でもあります。
多くの気付きを私に与えてくれ、時には周りのことも関係なしに私を説教してくれるような関係です。笑
この方の一言一言に多くの学びがあり、まだまだ若造である私の考えの甘さ・浅さに痛感させられております。
このような方との出会いがなければ、リハビリテーションという職の深みを味わうことができなかったと思います。
時折、このブログにもその方からの学びを共有させていただくことになります。
そんなときは、またこいつは説教されたんだなと笑ってください 笑
どうか、これからも末永くお元気でおられますように。
最後まで読んでいただきありがとうございました。