臨床実習で学べることとは?
突然ですが、理学療法士の実習ってなにを学びに行くイメージがありますか?
手技?
理学療法士像?
コミュニケーション?
夢?
。。。色々な考えがありますよね。
私が学生のときは「手技」を学びに行くものだと思っていました。
というのも、理学療法というものが、『手技』で成り立っているものかと思っていたからです。

『手技』に関して、学校の授業では概論や理論、歴史等を学びました。
しかし、動かし方だったり、触れ方だったりなど、実践形式でそれらの『手技』を練習することは一切行わなかったのです。
そうした中で放り込まれる実習。
だから当然、実習という場で現役の理学療法士さんから『手技』のレクチャーを受けて、患者様に触れるのかと思っていたのです。
ところが、実際に行ってみると全くそんなことを習う気配すらありませんでした。
いきなり
「どう思う?」
「評価してみようか」
なんて言葉をかけられ、訳も分からず途方に暮れる私を、ニヤニヤと指導者が見てくる。。。

そこで初めて気づいたのです。
臨床実習って『手技』を学ぶところじゃないんだと。
そんな右も左もわからなかった私だからこそ、あなたには知っておいて欲しいことがあります。
理学療法士の臨床実習は『手技』を学びに行くところではありません!

知ってた方も、知らなかった方も、この記事を最後まで読めば、あなたが実習でなにを学んだらよいのか、具体的な目標ができてくるでしょう。
ということで、今回のテーマは【臨床実習で学ぶべきこととは?】です。
臨床実習はあくまで履修科目の一つである
大前提として、覚えておいてください。
臨床実習は学校で履修しなければならない科目の一つです。
つまり、あなたは所属する学校の方針である「学校が育成している理学療法士」に向けた取り組みをする必要があります。
例えば、学校側が”生活”を重視したカリキュラムであるならば、”生活”にフォーカスした授業(実習)を受けなければなりません。
また、”治療技術”を重視したカリキュラムであるならば、”治療技術”にフォーカスする必要があります。
お役所からすると、学生さんの立ち位置としては、”在籍している学校の掲げる理学療法士像”に共感したから入学したと判断されています。
あなたは”大学側の目指す理学療法士になりたいと思って入学した生徒”なのです。
あなたの志望動機がどうであろうが関係ありません。
社会において、なにかに在籍するとはそういうことを意味しています。
ということは、本来なら、臨床実習であなたが学ぶべきことは、”学校の信念”に基づいた思考を高められるようなことを学ぶ必要があるのです。
また、”学ぶ”ということは、本来なら「この人に教わりたい!」と思って”教わりに行く”ものですよね。
どこぞの誰かもわからない人に教わったって、「へ~」で終わるのが目に見えています。
つまり、実習先を決めるときは、「あの先生のもとで学びたい!」から、その先生の所属する実習先を希望するものなのです。
とはいえ、多くの方はそこまで深く考えて学校選び・実習先選びをしているわけではないのが現実。
なので、私が普段から実習生さんに学んで欲しいなと思っていることを以下に提示していきます。
臨床実習だからこそ経験できることを学ぼう
臨床実習でしか学べないこと。
それは「理学療法士の思考」です。
理学療法士ってこんなことを考える仕事なんだ!
私はそう思えることを学んでもらえたら嬉しいなと思って指導しています。
実習にきてまで、理学療法士の基礎となる知識の部分を学ぶor復習するのは、正直私はもったいないと思います。
それって、いつでも、誰からでも、学べますよね?
適当な本を買ったり、勉強会にでも行けば、すぐに学べます。
しかし、目の前に患者様がいて、その方に対して、現役の理学療法士さんがどんなことを考えて、どんな知識・知恵を駆使して、仕事をしているのか?
ということは、その場でしか学ぶことができません。
例え”症例報告”のように書面に表したものでも、患者様の言葉や表情、それに対する指導者の受け止め方や反応の仕方までは学ぶことができませんよね。
実際に理学療法士と患者様が触れ合っている様というのは、実習だからこそみれるものなのです。
その、ありのままとも言える私の思考に触れて欲しいのです。
ここで重要なのは、その思考が良いものかどうかは別の話だということです。
私の思考を押し付けているのでは決してありませんからね。
”私”という一人の理学療法士という生き方に触れ、その経験をあなたがどう解釈し、どうつなげていくかは自由です。
もちろん、反面教師としてもいいわけです。
そこの強制は誰にもできません。
しかし、そういう考えをもった理学療法士がいるという事実、その思考でも良くなっている患者様もいるという事実があるということは知っておいて損はないでしょう。
あなたが”自分の理学療法”を行っていて、壁にぶつかったとき、もしかしたら、その指導者の思考が役立つかもしれないですからね。
臨床実習でより深い学びをするために着目すべきポイントは2つ!
では、その臨床実習でしか学べない「理学療法士の思考」を学ぶためにはどんなところに着目して過ごしていけば良いのでしょうか。
ポイントは2つです。
・患者様の表情・言葉
・指導者の表情・言葉
これを重点的にみてみましょう。
もちろん、仮説の立て方やトレーニングメニューも重要です。
しかし、それは初学者には理解が追いつかない部分もあるかと思います。
始めはそういった表情や言葉ところから着目してみましょう。
そして、徐々に慣れてきたら、仮説の立て方やトレーニングメニューとその表情と言葉をリンクさせてみてください。
すると、なぜそのメニューを組んだのかを推測しやすくなります。
例えば、大腿四頭筋を鍛えるためのメニューは何百通りとありますよね。
その中からなぜ、そのトレーニングを選んで提供しているのか。
そこには”患者様”という存在があるからです。
患者様のためのメニューを組むためには、患者様のことを知らなければなりません。
理学療法評価に留まらず、性格や、これまでの生き方、人生観、価値観、、、
色々な要素を組み合わせて、そのトレーニングメニューを提供しているのです。
その思考を学んでみてください。
受身の実習では、こう表現するのが適切かと思いあえていいます。
「実習で得られる経験は、”いつか”役立ちますから。」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
引き続き『リハぶっく』をお楽しみください。