こんな未来を想像してみよう!
理学療法士として終末期のケアに携わる術を身につける!

「終末期ケア専門士ってなに?」
「理学療法士って終末期ケアに携わるの?」
「理学療法士が終末期ケア専門士を取得するメリットってなに?」
今回の記事では、普段から終末期ケアに携わる機会があるため、終末期ケア専門士のテキストを購入した理学療法士の私が、こんな声にお答えしていきます。

こんな方におすすめ!
- 終末期ケア専門士とは?なにか知りたい!
- 理学療法士が終末期ケアにどう携わっているのか知りたい!
- 理学療法士として終末期ケア専門士を取得するメリットを知りたい!
終末期ケア専門士について
終末期ケア専門士とは?
終末期ケア専門士とは、臨床ケアの知識と倫理をあわせもった、臨床ケアにおけるスペシャリストのことです。
2020年に日本終末期ケア協会が新設した民間の資格で、エビデンスに基づいたケアの実践し、患者・利用者様の一番近くで「支える人」の育成を図っています。
終末期ケアについて基礎から学ぶことができ、エビデンスがまだ十分に確立されていない分野の現状も知ることができます。
そのため、終末期ケアの引き出しが増え、より個別性のあるケアの実践につながります。
終末期ケア専門士になるには?
終末期ケア専門士になるには、試験で合格しなければなりません。
試験は日本全国260ヶ所のテストセンターで受験が可能なパソコン受験です。
そのため、ほかの資格のように試験会場へ遠征をする必要もないため、時間のない方でも受けやすい特徴を持っています。
※回答は選択肢のボタンをマウスでクリックする方式を採用
終末期ケア専門士の詳細、試験の詳細に関してはこちらの記事をご覧下さい。
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【2020年新設】終末期ケア専門士とは?試験詳細や取得のメリットについて
「人生の幕の閉じ方って色々あるんだなー。」 「今ある価値観の中で、これからより多様化してくる”死”の捉え方に対応できるのかな??」 「多様化する”死”へ対応する術を身につけておかなきゃな、 ...
理学療法士が終末期ケア専門士を取得するメリット
一般的に終末期ケア専門士を取得するメリットとして挙げられているのは、以下の5つです。
- 終末期ケアについての知識や技術だけでなく、医療介護の分野以外の学問も学べるため、患者・利用者様やご家族に対するケアの質が上がる。
- 知識や技術が身につくことで、終末期ケアを行う際のストレス・不安軽減となる。
- 定額の動画配信システムを利用することで自由に学習ができ、さらに
それが更新のためのポイントとなる。 - 同じ資格を持つ仲間と繋がれるネットワークシステムに参加できる
- 認知症ケア専門士などの資格同様に転職に有利になる??
まだ2020年の新設された資格ということで、その社会的な効果に関してははっきりとわかっていません。
しかし、時代・社会背景を考えると、これからますますニーズが大きくなってくることが容易に考えられます。
では、理学療法士が終末期ケア専門士を取得するメリットとはどんなものがあるのかを考えてみました。
- 終末期に求められるリハビリテーションについて知ることができる。
- ”死”について学ぶことで、”生”をより濃く意識したリハビリテーションを提供することができる。
- 他職種の思考や行動を知ることで、終末期ケアに携わるスタッフの一員として機能することができる。
- 終末期ケアをする際の注意点を知ることができる。
- ”死”を目の当たりにする際にかかる自分への心的ストレスを軽減できる。
- 地域貢献活動の仕事を受けることができる。
ということが挙げられるかと思います。
以下にその詳細について触れていきます。
終末期に求められるリハビリテーションについて知ることができる
日本において”リハビリテーション”という言葉は、どちらかというと機能を”向上”させるときに使われることが多い印象です。
そのため、”死”を間近にした終末期の患者・利用者様へのケアに携わるというイメージを持っていない方もいるのではないかと思われます。
しかし、終末期においてもリハビリテーションはとても有効であり、患者・利用者様からのニーズは大きいと感じています。
特に病院では1対1でしっかりと話す機会がそう多くないため、療法士がリハビリテーションを提供している時間を心待ちにしている方も少なくありません。
患者様にとっては、その時間が”心の拠り所”であり、病院生活の中では”生きがい”となることがあるのです。
そんな時に理学療法士としてどんなことを考え、どんなリハビリテーションを提供したら良いのか。
終末期ケア専門士は、そういったことを学ぶ良いきっかけとなるでしょう。

”死”について学ぶことで、”生”をより濃く意識したリハビリテーションを提供することができる
リハビリテーションはこれからの人生をどう過ごすのか、という未来を創るものでもあります。
特に終末期を迎えた患者・利用者様にとっては、目の前に迫った短い人生をどう過ごすのかという未来を創っていかなければなりません。
そのため終末期ケアに携わる際は、常に”死”を意識した行動を取らざるを得ないのです。
つまり理学療法士としては、どんなリハビリテーションが最適なのか?という疑問が常につきまとうことになります。
”死”を普段から濃く感じていないであろう、あなたにとっては理解ができない価値観がそこにはあることもあります。
そのため、あなた以上に”生”をより濃く感じている患者・利用者様に対してリハビリテーションを提供することが求められるのです。
その考えは、終末期でない急性期・回復期・維持期でのリハビリテーションにも大きく影響を及ぼすことになります。
終末期ケア専門士を取得することで、どんな方でも”生”を意識したリハビリテーションを提供することができるようになると考えられます。

他職種の思考や行動を知ることで、終末期ケアに携わるスタッフの一員として機能することができる
理学療法士は、生きている方に対し”これからの未来”を提供する役割を強く意識して働いています。
つまり、「死ぬまでの時間をどうしたら、その人らしく過ごせるのか」を考えてリハビリテーションが提供されることが多いと思います。
ただ、患者・利用者様にとっては”死後”にも未来があって、看送られ方や、残された家族のことなどを心配する方も少なくありません。
そのため、医師・看護師・介護士などの職種においては、生前だけでなく、死後にも携わる機会があるため、亡くなった方の未来をも創る機会があります。
理学療法士も医療従事者の一人、終末期ケアを実践する一員として、そこまでのケアにも携わりたいですよね。
そのためにも他職種の終末期ケアに関する思考や行動を知っておくことが重要となります。
主に遺族に対して行われる心のケアである『グリーフケア』に関しては、すでに行っている方もいるとは思います。
しかし、理学療法士があまり携わることがない”死後のケア”である『エンゼルケア』に関しては、もっと関わりを持てる箇所があるかと思います。
終末期ケア専門士を取得することで、終末期ケアスタッフの一員として、理学療法士がこうした死後の未来をも創るためのヒントを得ることができるのは、大きなメリットではないかと考えます。

終末期ケアをする際の注意点を知ることができる
終末期では身体的な苦痛だけでなく、心理的な苦痛をも伴うことがあります。
それは時に健常人では理解の及ばない範囲のものとなるのです。
そうした苦痛に対して、どのようなケアが望ましいのか、どのようなケアをしているのかなど、終末期ケアを提供する際の注意点を知ることで、チームの一員として機能することができるようになります。
世の中には、あなたの常識や価値観とは異なる様々な”死”があります。
終末期ケアを学び、その注意点も知ることでそうしたものにも対応できるようになることでしょう。

”死”を目の当たりにする際にかかる自分への心的ストレスを軽減できる。
人はこれから待ち受けることに関しての知識があることで、ある程度の自己防衛をすることができます。
これは”死”に関しても同じです。
”死”とは一般的な体験とは違い、心がとても揺らぐ出来事でもあります。
そしてそれは、患者・利用者様、そのご家族だけではなく、我々医療従事者にも大きな影響を及ぼすのです。
実際に医師・看護師をはじめ医療従事者の中には、この”死”という出来事を機に、精神的に追い詰められて職を辞する方を何人も見てきました。
それだけ”死”が与える影響は大きく、強烈な出来事なのです。
少しでも長く理学療法士人生を全うするためにも、自己防衛をするためにも”死”について学んでおくことは必要なものなのかもしれません。
終末期ケア専門士では、”死”だけでなく、各疾患の終末期(予後や経過など)も学べるため、自分を守るために必要な知識を身につけることができるかと思いますよ。

地域貢献活動の仕事を受けることができる
終末期ケア専門士には資格をステップアップしていくことができます。
臨床ケアにおけるスペシャリスト「支える人」である
『終末期ケア専門士』
↓
組織運営・教育などチームマネジメントにおける役割モデル「育む人」である
『終末期ケア上級専門士』
↓
地域貢献活動を通して社会に働きかける「伝える人」である
『JTCAアドバンスインストラクター』
このうちの最終ステップである『JTCAアドバンスインストラクター』になると、日本終末期ケア協会(JTCA)に依頼がくる地域貢献活動の仕事を受けることができます。
また、その他にも協会からの仕事依頼もあり、職場以外での活動を通してスキルアップを図ることができます。

終末期ケア専門士を取得するデメリット
一方で、終末期ケア専門士を取得するデメリットはどんなものが挙げられるのでしょうか?
- 第一回試験のため過去問がなく、どんな問題が出てくるのかがわからない
- 現状、医療・介護業界へのキャリアとしての影響は不透明。
- 取得・更新のための費用がかかる。
ということが現状挙げられるかと思います。
ということで、以下からは、各デメリットに関して詳しく触れていきます。
第一回試験のため過去問がなく、どんな問題が出てくるのかがわからない
終末期ケア専門士は2020年に新設された資格です。
つまり、過去問がないため、どんな問題がでるのかも分からないのです。
そのため、試験対策としては公式テキストを読み込む以外に術がありません。
過去問を中心に勉強してテストを受かってきた勢にとっては、ちょっと嫌な試験だと言えるかもしれません。
そのため、ある程度終末期ケアに携わっている方のほうが有利であることは間違いなさそうです。

現状、医療・介護業界へのキャリアとしての影響は不透明。
終末期ケア専門士は民間の資格です。
国家資格のようにその資格があるからこそ働ける、というわけではありません。
また、その資格を持っているから施設側が加算を取れるとか、給料アップに繋がるとかの社会的効果は今のところありません。
現状の社会的な価値としては、極端なことを言うと、ボールペン講座できれいな字が書けるようになるのと同様なのです。
つまり、取ってから、その資格を活かすことができるか否かはその人次第なのです。
幸い、日本終末期ケア協会ではJTCAアドバンスインストラクターというステップまで進めば仕事の依頼を受けることができることを宣言しているので、そこまで頑張れば、資格を活かすことができます。
まだまだこれから大きくなっていく協会ではあるとは思いますが、この先何があるかわからない現状、それも踏まえて、先行して資格取得をするかどうかは、個人の考え方によるでしょう。

取得・更新のための費用がかかる。
資格ですからね。
取得するにも、更新するにもお金がかかります。
それはどんな資格でもそうですよね。
なので、なぜ資格を取るのかをしっかり考えてみましょう。
お金がかかっても得たいものがあるからですよね。
知識、技術、仲間、仕事、権威、、、
資格を持てば様々なものが得られます。
それをうまく使えるかどうかはあなた次第です。

さて、、、
ここまで読んで頂いた方ならわかると思いますが、理学療法士として『終末期ケア専門士』を取得するデメリットはありません。
理学療法士の活動範囲として、これからますます終末期ケアに思考が向いていくと思いますので、ぜひ学んでおきたいところです。
終末期ケア専門士の公式テキストに関しては、試験を受けなくとも誰でも手に入れることができるので、参考書として1冊持っておいて損はないですよ。
公式テキストの内容や評価。感想について詳しくはこちらをご参照ください!
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まとめ
人の人生の終わりに携わるということは、責務も、やりがいもあることだと思います。
その方が最後にどんな想いを抱いて一生を終えるのかが、関わる人たちによって大きく変わってきます。
そんな機会に携わる医療従事者として、その中でも理学療法士として、どう携わるのかは、今後の医療・介護業界においても重要な課題となっていくことでしょう。
今のリハビリテーションに深みを持たせるためにも、”死”を知り、”死”を意識した取り組みもできるように、この資格を取得することの意義は大きいかと思われます。
終末期リハビリテーションに興味のある方は、ぜひ取得を目指してみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
引き続き『リハぶっく』をお楽しみください。