どうも、長谷川元気です。
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養成校は何を実習地に求めているのだろう。
「課題を課さないでください。」
「実習先から一歩出れば、そこはプライベートな空間となります。なので、その時間は実習のこと以外をする時間です。」
だとさ。
じゃあどこで学生さんは勉強するのだろう 笑
学校でも宿題や課題を課してないのかな?笑— スーパーバイザー@実習コーディネーター (@PTsupervisor) 2018年11月11日
今回はこのツイートに対して深く掘り下げていきたいと思います。
ここ最近は実習の形態も大きく変わってきました。
まさか、養成校側からあんな依頼が来るとは思いませんでした。
しかし、現実にあんな依頼をしてくる養成校が徐々に増え始めてきているのです。
実習のことは実習の時間内で済ませられるようなご配慮を。。。
なんて言われた日には、おもわず笑ってしまいました。
どうやら、最近の学生さんたちは、何かあれば養成校の指導担当の先生とその都度やりとりをしているとのことです。
中には、その日にあったことや、寝る時間など事細かに報告するシステムを用いていた養成校もありました。
養成校が実習というイメージをよくするための戦略なのかわかりませんが、ずいぶんと学生さんを保護的に扱うように推奨しているように感じます。
これまで学生さんにとっての実習は、臨床へ出る前の『経験値』を積む場としての役割が多くを占めていた部分がありました。
この職種は研修医制度がないため、資格を取ってしまえば、プロとして働くことを求められるからです。
そのため、学生の内になるべく多くの『経験値』を実習地で得れるよう、指導する側も工夫を凝らしていました。
しかし、一部の病院ではその教育環境が整っておらず、学生さんにとっては心を折られてしまう出来事や、生命に関わってしまった出来事などが起こってしまいました。
そのため、世間的にも実習のあり方に対して反感を食らう形をとってしまったことも事実です。
ただ、リハビリテーションは医療職であり、技術職であるため、セラピストのかかわり方一つで、患者様の人生が大きく変わるものです。
他人の人生がかかった仕事に対して、生半可な気持ちで就かれて困るのはあなたではなく、患者様です。
それを知っている指導者が、学生さんに対して少し厳しくなるのも、わからなくない話である部分があります。
特に技術職は、その伝統や格式を維持・発展するために厳格な覚悟を持った者しか生き残っていけません。
だれも中途半端な覚悟の者に継承などしたくないですよね。
そこで技術職の方々が技術の継承を行う際に取っていた方法が《背を見て盗め》でした。
「真の技術者は多くを語らない」そんなことがささやかれるほどです。
技術職の世界では、「学びたい者だけが学べばよい」そんなスタンスで伝統の継承が行なわれてきました。
そのため、このリハビリテーションという技術職も、これまでは《背を見て盗め》を基本スタンスとしていました。
それを学生の頃の実習中に行なって、最低限の技術・知識などの『経験値』を得てきたのです。
しかし、現在はその考え方では”古い” ”堅物” とまで言われてしまうようになってしまいました。
その背景には来る2025年問題に対してセラピストの絶対数不足に対する人員拡大を図ったものがあったのかもしれません。
セラピストの絶対数を増やすために、技術職ではあるが参入するには”ハードルが低い職業”と見せかけた、、、なんてことも考えられなくはありません。
実際に養成校も増え、セラピストの数も膨大に増え、今となっては就職の氷河期となっているとまで言われるほどです。
ただ、参入するハードルを下げたことで、色々な考え方を持つセラピストが溢れました。
それが、”特に目的意識がない” ”国家資格だから” ”手に職をつけたい” といった、これまでの熱意に溢れた方ばかりが集まる職業ではなくなってしまいました。
そんな中、生まれた技術の伝承方法として、これからは《手取り足取り》が望ましいとされてきています。
これなら《背を見て盗め》からはハードルも下がり、リハビリテーション業界に参入希望の熱意の少ない学生さんのニーズにも会った指導となったのです。
果たして、それは誰のためになっているのでしょうか。。。
リハビリテーションは本来、【患者様のため】に提供する技術・知識です。
それが今の実習の指導方法では【学生さんのため】となっていることが多くなってきていると、私は危惧しています。
ここで少し視点を変えてみましょう。
日本の社会情勢について考えてみます。
リハビリテーション業界だけでなく、現代社会的にも《背を見て盗め》が時代遅れで《手取り足取り》が主流とも言われていますよね。
しかし、日本の社会が《手取り足取り》になったその結果、どうなったかご存知でしょうか?
かつて、世界中に名を馳せたジャパンブランド。
そのジャパンブランドは現在では低迷し、いわゆる【職人】さんは数を減らしてきています。
さらにジャパンブランドの伝統を継承する若手も少なくなり、途絶えてしまった日本の伝統工芸品・能も数多く見受けられるようになりました。。。
これって、今リハビリテーション業界が歩んでいる道と似ていると思いませんか?
となれば、リハビリテーション業界の未来って。。。
あなたは、どう捉えましたか?
技術職は知識だけでなんとかなる世界ではありません。
繊細な感覚や息遣い、心意気、姿勢。
あらゆる知恵を駆使してジャパンブランドは成り立ってきたのです。
それらは決して言語化できるものばかりではありません。
やはり《背を見て盗め》が重要になってくる部分は必ずあります。
私はリハビリテーション界にはこのような進路をとって欲しくありません。
その時代の方針に合わせた実習体系も大切です。
しかし、この記事を読んでくださった学生さんには、今後の働き方のことを考えると、【患者様のため】の知恵を育めるよう実習に打ち込んでほしいと思います。
それが患者様のためでもあり、リハビリテーションという職業の未来のためでもあり、あなたのためでもあります。
実習は辛い面もあるとは思います。
しかし、それ以上に臨床へでたら重い責任がのしかかります。
臨床に出たときにその重圧につぶされないよう、それも1つの経験として取り組んでいただければと思います。
指導する側も、実習生側も再度なんのために勉強しているのか、なんのために実習に取り組んでいるのか考えてみましょう。
あなたはなぜセラピストになりたかったのですか??
結局、学校も会社も自分のことが良ければ、それでいいんだよね。
実習での課題なし も、
ノー残業デー も。実現できっこないことを無理にやろうとするから、どっかで皺寄せがくる。
その皺寄せがその人自身や家族に向かわないことだけを祈っています。
ただ、現実はそこに向かっているんだよな…
— スーパーバイザー@実習コーディネーター (@PTsupervisor) 2018年11月11日
最後まで読んでいただきありがとうございました。
引き続き『リハぶっく』をお楽しみください。