どうも、長谷川元気です。
私は当サイト『リハぶっく』の管理人です。
現役病院勤務の理学療法士をしています。
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今回は「お給料」について解説していきます。

理学療法士の給料って低いの?
何も隠すことはありません。
答えは 「低い」 です。
繰り返します。
理学療法士のお給料は低いです。
厚生労働省の平成29年賃金構造基本統計調査(この記事を書いている時点での最新情報)によると、理学療法士のお給料事情は以下のようになっていました。
平均年齢 | 実労働時間 | 超過実労働時間 | 給与 | ボーナスなど |
31.3歳 | 160時間 | 9時間 | 28万4千円 | 70万3千円 |
(「賃金構造基本統計調査 / 平成29年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」より抜粋・改変 )
この表から、理学療法士・作業療法士は平均31歳で給与が約28万円の職業ということがわかります。
学生さんが思い描いている給料と比べてどうでしょう?
高い or 低い
どちらに感じましたか?
知っておこう!
「給与」:基本給与+諸手当+基準外給与で算出されている。
「諸手当」:住宅手当、家族手当、通勤手当、役職手当、資格手当など
「基準外給与」:時間外手当、休日手当、宿直手当など
ただし、、、
あなたの銀行に振込まれる「手取りの給与」は、上記表の「給与」から国民健康保険や国民年金・所得税・住民税などを引いた額となります。
この引かれる額が大きくて、だいたい給与の1/3以上も引かれてしまいます。

また、年収はというと、給与が28万4千円、ボーナスが70万3千円という数値から計算して、約410万円となります。
28万4千円 × 12ヶ月 + 70万3千円 = 411万1千円
これは一般的なサラリーマンとほぼ同値となっています。
つまり、社会的にみると、セラピストは医療従事者とはいえ、
日々、生と死と向き合うような現場に立ち、患者様のその後の人生をも背負うような仕事なのにそれでよいのでしょうか。
国家資格である理学療法士になったからには、それなりの責任感と誇りがある方も多いのです。
ゆえに一度は思うであろう言葉があります。
それは
「なぜ理学療法士の給料は低いのだろう?」
ということです。
今回の記事では、そんな悩みに対して疑問の解消とその解決策をまとめていきます。
なぜこんなにも、理学療法士のお給料は低いのか?
この低い理由について他のサイトをみると、「在籍しているセラピストの平均年齢が30歳前後と若いから」と
確かに、上で提示した表をみていただけるとわかるのですが、平成29年の調査では平均年齢が31.3歳となっています。
まだまだ理学療法士も作
ゆえに、働いている層が若くなってしまうということは言えるでしょう。
そして、重度の肉体労働ですから、年齢を重ねるうちに身体が悲鳴をあげてしまい、セラピストではなく研究や教育の仕事へとシフトしている方も少なくありません。
また、もう一つの理由として、スキルアップなどを理由に転職することが多く、勤続
勤続年数が増えれば、それだけ給与も徐々に上乗せ分が増えていきます。
しかし、転職してしまうことで、それらはリセットされてしまいます。
だから、
……
私はそれだけで済ましてはいけないと考えていま
なぜなら、「若いから、長く続ける人がいないから」は理由に
考えてもみて下さいね。
てことで、いきなりですが質問です
セラピストとしての歴史が積み重なるごとに、あなたが年齢を重
これだけでは検討もつきませんよね。
では、この答えを探るために、まず一つ一つ「給料」について深
「なぜ安いのか」に対する答えは『給料』について深く学ぶことでみえてくる
まず、我々セラピストの多くは会社に雇われており、会社に利益をもたらす代わりに『給料』を頂いているという立場にあることを知っておきましょう。
我々セラピストはどのようにして会社に利益をもたらしているのか。
それは、リハビリテーションを患
そこで得た報酬は会社にとっては売上となります。
会社にとってはその売上の中から、人件費(
※正確
つまり、我々雇われているセラピストは会社のためにも、自分のためにも、報酬を多くいただき、売上を大きくしなければならないのです。
一般的に、雇われている人が会社に利益を出すためには、『
ということは、あな
ここでおさらいです。
理学療法士が売上を出すためには、患者様にリハビリテーションを提供して報酬をいただく必要があります。
今現在、理学療法士がいただくことができる診療報酬は以下のようになっています。
(PT-OT-ST.NET 平成30年診療報酬改定情報 より抜粋)
理学療法士はこの診療報酬のみで売上を出しています。
※実施計画書などの加算分は除いています。
一般的な病院では
・月に20日前後出勤(週休2日)
・一日に18単位
・時により残業
という条件で働いています。
一般的な病院で月に理学療法士が稼ぐ額を、
仮に18単位の全てを一番診療報酬が高い脳血管疾患(施設基準Ⅰ)で実施するという条件で算出すると、
20日 × 18単位 × 245点 × 10円(1点) = 88万2千円
となります。
ということは、月に90万円弱稼いでいる理学療法士の給料は、その1/3の30万円弱と計算することができます。
ただし、18単位すべてが脳血管疾患(施設基準Ⅰ)である病院などないでしょうから、実際にはもっと稼ぎが少ないと容易に予想できます。
メモ
ちなみに。。。
運動器(施設基準Ⅰ)で18単位のときは66万6千円
呼吸器(施設基準Ⅰ)で18単位のときは63万円 となる。
この数値自体は、上に挙げた厚生労働省の調査ともほとんど差異がありません。
むしろ、多くの病院・施設にとっては、月30万円(手取りはここから各種税金が引かれます)の給料は渡しすぎに値するのです。
この数値をみてもまだ理学療法士の給料は「低い」と大手を振って言えるでしょうか。
言えないですよね。

とはいえ、稼ぎ以上のお給料をいただけている現状は、もしかしたら、社会的な評価は低くとも、病院や医療界の中では評価されていると考えても良いのかもしれません。
少なくとも、数値という一側面だけからみたら、会社的には一般的なサラリーマンより稼ぐということに関しては劣っていると判断せざるを得ませんから。
ただ、理学療法士が会社にとって貢献している点といえば、他にも在院日数の削減や、吸引回数の削減、介助量の軽減など間接的にコストを削減しているという点も忘れてはなりません。
これらの働きができてこそ、理学療法士はお給料をいただくに値する存在となり得るのです。

理学療法士の給料が安い理由
では、前置きが長くなってしまいましたが、なぜ理学療法士の給料が低いのかお分かりになりましたか?
そもそも、お金を稼いでいないことが大きな問題となっているのです。
これでは、どれだけ長い期間働いていようが、給料が大きく上がるということはないでしょう。
もし、上げたいのであれば、法律に反して一日に行う単位数を増やす他ないのですから。。。
そして、今現在、医療費はどんどんと縮小傾向にあり、もちろん、リハビリテーションの診療報酬も例外ではありません。
巷では、PT協会から国会議員を排出して、国政で理学療法士が戦うことで、診療報酬の縮小を止めようといったアプローチもされています。
それがどれだけの効果を生むのか、私にはわかりません。
国政に力を入れたところで、一度下がったものが上がるということは、考えにくいと思います。
ただ、確実なこととして一つ言えることは、「普通に働いているだけでは給料は安いまま。それだけでなく天井はすぐそこに見えている」ということです。
理学療法士が給料を上げるためには
では、最後にどうしたら理学療法士が給料を上げることができるのか、具体的な方法を提示していきます。
①副院長までのし上がる
②開業する
③講演・勉強会等の講師になる
④大学教職員になる
⑤転職する
⑥副業をする
ざっと、こんなものでしょうか。
それぞれについて触れていきます。
①副院長までのし上がる
給料が上がる=役職につく
これが一般的に推奨されている方法です。
そして、どこまで地位を高められるかというと、副院長までは駆け上ることが許されています。
理学療法士は院長にはなれませんが、副院長にはなることができるのです。
現にいくつかの病院では、理学療法士が副院長となって稼働しているところがあります。
そこまで出世すれば、役員報酬等も付くため給料は上がるでしょう。
ただし、この道はなかなか険しいのが現状です。
医師という大きな壁がある以上、現実的ではありません。
小さな病院でなら、部長や課長なら現実的に目指せるところかもしれません。
②開業する
「開業する」と書きましたが、理学療法士としては開業できませんのでお気を付けください。
難しい話をすると、理学療法士は名称独占のため開業ができないのです。
メモ
業務独占:資格がなければ、その業務ができない。(例えば医師、看護師、薬剤師など)
名称独占:資格がなくても、その業務ができるが、資格を名乗ることができない。(例えば理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)
わかりやすくいうと、”理学療法士は注射を打つことができないが、看護師は歩行練習や筋トレをすることができる ということ。
そもそも理学療法士は理学療法を提供する際に、医師からの指示が必要なのです。
そのため、理学療法士として開業したところで、コストを算出するときにリハビリテーション診療料を算定できないのです。
ただ、自由診療と言って患者様が全額自費(保険が使えないため)で受けるスタイルで活動する分には開業ができます。
その時は理学療法士の○○ではなく、理学療法士の肩書きを持った○○が行うもの。。。
という捉え方で起業している方も多く存在しています。

そこではあなたの腕次第で病院や施設で働く以上の収入が得られる可能性もあります。
そのためには、理学療法の知識や技術だけでなく、ビジネス的なセンスや経理などの知識など、多くのことを知っておかなければ、法律違反したり、収入が”0”となる可能性も大いにあります。
むしろ、そのリスクの方が大きいです。
とはいえ若いときには一度は夢見る「開業」
果敢にチャレンジしてみる価値はあると思います。
今のご時世、開業に関するいろいろな支援もありますから、ちゃんと調べて学び、それらを天秤にかけた状態でチャレンジしてくださいね。

③講演会・勉強会の講師になる
これはなかなか現実的な話になります。
最近の医療界では、従来よりもより細分化された知識を求めている人が多くなり、その特化した知識を持つことがその人の武器となっています。

その特化した分野によって結果を残したり、また、その分野の協会や研究会に属することで、その分野の知識の普及活動をするような機会が回ってきます。
それが講演会であったり勉強会での講師です。
今のリハビリテーションに限らず、医療界全体の流れとして、どんなにくだらない内容でも一回の勉強会の参加費が1万円はかかることが多いです。
その何割かが講師に登壇料として振込まれるのですから、勉強会の規模によっては、一回でも登壇すれば相当な利益となるようです。
すなわち、ある特殊で未だ発展のしていない or これから成長するであろう分野にいち早く目をつけて、現在トップレベルの方へ近づくことで、自分にチャンスを引き寄せる といった形で、自分がトップレベルに君臨することが講師への近道となりそうです。
ただし、学生~新人のうちはあまり特化した知識ばかりに目が向いてしまうと、目の前の患者様のサインを見逃してしまう可能性も大きくなるため、それ以外の知識も吸収できるようにしてくださいね。
あともう一点。
これは学生さんの特権なのですが、今現在通っている養成校で教壇に立つ先生のなかで、面白そうな研究をしている or 医療界で有名である 先生とのコネを作っておく というのも有効な手段です。
大学では教職員も研究をしており、テレビにでているような先生が普通に教壇に立っていることも珍しくありません。
その先生の研究分野に携わっていけば、最新の知識が手に入るだけでなく、その先生からの依頼もいただけることがあるかもしれません。

④大学教職員になる
大学教職員だけでなく、専門学校の教員にもなることができます。
そして、教員になるためには条件があります。
・経験年数:臨床経験が5年以上(休職期間は含まれない)
・学位:就きたい位によって異なる。
※非常勤講師なら卒業生でも可能、教授は博士号を取る必要が一般的にはあると言われていますが、、、正直なところ日本の大学は「有名人」であれば、誰でも教壇に立ててしまったり、教授にまで登りつめることができてしまったりと、学位があってないようなものであるのが現状です。最終的にはあなたが教壇に立ちたいと考えている養成校の条件を調べる必要がありそうです。
これらの条件を満たして、なおかつ、養成校側の教員に欠員がでた場合のみ教壇に立つことができます。
すなわち、チャンスはそうそう巡ってくるものではなく、狭き道の一つと言われています。
学生の時から養成校に強力なコネを作っていくことができれば、いつか教員になることができるでしょう。

⑤転職する
初めに注意しておきます。
「今よりも給料を上げるために転職する」というのは、やめておいた方が良いです。
それこそ、デメリットの方が多いですから。
キャリアアップのためや興味のある分野に特化した施設にいくためなどのポジティブな理由なら転職することを強くおすすめします。
もちろん、その際は転職サイトを経由することなく、「ここの病院・施設に行きたい」という強い願望があるとなおさら良いと思います。
そのくらいの意欲がなければ、転職をしないほうが良いでしょう。
とはいえ、あまりに劣悪な環境で、身体や精神的に負担が大きすぎる場合、一刻も早く環境を変えるべきです。
まぁ、このご時世にそこまで劣悪な環境になることもそうそうないとは思いますが、、、
人が働く上で最も重要なのが人間関係です。
お金ではありません。
というのも、給料が高いところは、なにかしらのリスクを背負っているところが多いのです。
例えば、福利厚生が充実していなかったり、リハ業務もそれ以外の業務も長く拘束時間が長かったり、など身体への負担が増えてしまうところ。
また、個人医院などで有名な先生がトップに君臨しているところも比較的高給取りですが、長期的に見たらお金には苦労するかもしれません。
スキルアップには最適なのですが、その有名な方が何かしらの事情で臨床の場に立てなくなったとき、その医院は潰れるリスクさえあります。
さらに、医療費が削減されていく一方の現代社会において、特に個人経営のところはその影響は計り知れないものがあります。
その影響に耐えれるだけの力をもったところを見極めることが大切なのです。
そのためには「転職サイトに登録してで探そう!」という考えはとても安易であり、おすすめはしません。
自分の足で講習会や、勉強会などでコネを作り、自分のライフスタイルにあった転職先を見つける方が、よりよい環境で働くことのできる確率が高まりますよ。

⑥副業をする
私はこの方法を一番おすすめします。
副業といっても、たくさん種類があります。
・働くところとは別のところでアルバイト
・株や為替をやる
・マルチ商法
・事業展開
・ブログ運営 など
これ以外にも、お金を生み出すツールはたくさんあります。
興味のある方は、調べてみるとよいですよ。
ただし、そういう時に限ってお金に関する甘い話が舞い込んでくることもありますから、本当に注意してください。

お金の悩みは人生を狂わせかねないものとなる場合があります。
お金の悩みは特に情報弱者が狙われやすく、結果さらにお金に苦しむことになるケースが多いのです。
十分に対策をしながら、お金にまつわることを勉強してください。
結論、大きな企業で雇われるということがどれほど守られている環境であるかを思い知ることになると思います。
最後に
ここまで代表的なものを挙げてきましたが、この他にもお給料が上がる方法はいくらでもあるかと思われます。
結局のところ、お金を生み出すには何かしらを犠牲にすることになります。
それがあなたの身体なのか、時間なのか、精神なのか、、、
うまい具合にあなたのライフスタイルが崩れない・あなたの健康が崩れない程度のものを選択しなければなりません。
「隣の芝は青く見える」とはよく言ったもので、あなたに今ないものはよく見えてしまうのです。
そこばかりに目を向けず、臨床スキルをまず上げることを目標にしましょう。
回りばかりみていると、足元すくわれますよ。
これからのリハビリテーションの未来は、おそらく今よりもさらに臨床スキルが求められるようになり、価値が高まっていきます。
そのためにも、勉学もそうですが、学生のうちに人生経験をたくさんして、臨床に出る前に「あなた」を磨きましょう。
それが、おそらく学生のうちにできる『あなたの給料を上げるために必要な準備』になるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
引き続き『リハぶっく』をお楽しみください。