理学療法の起源
理学療法の起源はとても古いのをご存知ですか?
理学療法は医学の父といわれている古代ギリシアのヒポクラテスの時代まで遡ることができます。
ヒポクラテスについて
医学の父 ヒポクラテス
ヒポクラテスは古代ギリシアの医者で、その功績から「医学の父」と呼ばれています。
ヒポクラテスといえば、『ヒポクラテスの誓い』で有名です。
この『ヒポクラテスの誓い』はギリシア神に対し、医師の倫理・任務などを宣誓した全集で、現代における医療倫理の礎とされています。
医学を科学として発展させた
また、ヒポクラテスは医学を科学的に発展させた最初の人物とも言われています。
この頃から”病気は生活習慣や環境、食事から引き起こされるものである”と提唱していたとされています。
今でこそ当たり前の考え方ですが、当時はそうではありませんでした。
というのも、この時代の”病気”は超自然的な呪術や迷信、神々の仕業により引き起こされるものと考えられており、宗教的な医学が発展していたのです。
そこでヒポクラテスが提唱していた”医療”は食事療法や薬物療法が中心に行われていました。
人の持つ自然治癒力を高めて回復を図るという考え方が元となっているようです。
理学療法の語源
またこの時代には、太陽や水などの物理的・自然エネルギーを用いた物理療法もあったと言われています。
英語ではそれをphysical energyと読んでいます。
日本ではphysical energyのphysicalは「理学的」の意味がありますよね。
つまり、理学療法は医療が生まれたときから、概念として存在していたことになります。
当初は疼痛緩和や怪我の治療を目的として、physical energyを利用していました。
その後、第一次世界大戦やポリオ(急性灰白髄炎)を期に、理学療法は運動障害をも対象範囲としていきます。
日本における理学療法の歴史
法律で制定された1965年
日本においては、1965年に厚生省がphysical therapyの日本語名称を《理学療法》とした法律を制定します。
これがいわゆる「理学療法士および作業療法士法」です。
翌年(1966年)には国家試験が開かれ、1979年には短期大学の開始、1992年には大学教育も開始されました。
時代背景
法律が制定された1965年といえば、高度経済成長期である”いざなぎ景気”が始まった年です。
ちなみに前年の1964年には東京オリンピックが開催されていました。
理学療法士はそんな景気のよい中で生まれた職業ですから、当時の診療報酬は今の何倍もの点数が付けられていました。
しかも、この時代は個別療法ではなく、集団療法であったため、一人あたりが稼ぎ出す額が多い状況でした。
そのため給料はかなり良かったようです。
理学療法士の現在。そしてこれから。
理学療法士の仕事は、今や理学療法を提供するだけに留まらず、その知識を活かして世の中の変革に携わるようになりました。
バリアフリー、ノーマライゼーション、地域包括ケアシステム、、、など
ヒトを相手にするだけでなく、モノやサービスなどにも理学療法の知識を応用しています。
臨床経験を経て、理学療法士として雇用されずに働く、”リハビリテーションの知識を持った会社員”として一般企業で働く人も増えてきているようです。
つまり、理学療法士という職種は、保険診療の枠を越えて職域が拡大しているのです。
理学療法士の資格を取ったからといって、病院や施設・クリニックなどで働かなければならないという固定観念が薄れてきました。
私はとても良い傾向だと思います。
歴史を作るあなたたちへの願い
リハビリテーションの考え方をもっと社会貢献に実用すべきです。
「こうしたらできるよ。」
そう考える人は社会において多くありません。
直接的に患者様に治療ができなくとも、間接的にアプローチするといった方法はいくらでもあります。
臨床を経て、多くの学びや経験をすることであなたの方向性も徐々に見えてくるでしょう。
その中の選択肢として、保険診療外でも活躍の場があるということだけは忘れないでください。
リハビリテーションにはまだまだ可能性が大いに秘められていますから。
これからますますの活躍が期待される理学療法士。
あなたはどんな理学療法士になり、歴史にその名を刻んでいきますか?
そのために、今すべきことはなんですか?
常に自問しながら、今やるべきことに集中していきましょう。
なんでも経験して、あなたの価値観・世界観を広げておきましょう。
一見関係ないようなことでも、どんな繋がりとなるのかは繋げてみなければわかりません。
しかし、それらの経験は必ず役立ちます。
そう信じて共に前へ進んでいきましょう。
これからの歴史を作るあなた達の行く先に幸あることを祈ります。