どうも、長谷川元気です。
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さて、本文に移ります。
病院内で、患者様が患者様になるのはどのタイミングなのかご存知でしょうか。
具合が悪くなった時?
医師に病名・入院を告げられた時?
入院病棟に踏み入れた時?
いいえ、違います。
『病衣』を着た時です。
— スーパーバイザー@実習コーディネーター (@PTsupervisor) 2018年11月1日
今回はこのツイートについて深く触れていきます。
入院中の患者様が退院時、
私服をきているときの顔がすごく生き生きしているようにみえた
なんて経験ありませんか?
もちろん退院するくらいなので、多くの方は生き生きとするに決まっていると思います。
しかし、それ以上に『私服の患者様』って【患者】らしく見えないと思いませんか?
医療者は入院から退院までの経過を知っている分、どうしても自然と病状というフィルターを通して患者様をみてしまいます。
ただ、そこに『私服』というフィルターが追加されるだけで、その方の病状が見えづらくなりませんか?
つまり、普通のおじいちゃんやおばあちゃんと一緒に見えませんか?
『私服』を着ているだけで患者様とは思えなくなるのです。
どうしてこんなことを私が気にしているのかというと、
私はヒトの心の持ちよう次第で人生が大きく変わることを学んだからです。
リハビリテーションは1対1の個別にて運動などをするため、その時間は常にコミュニケーションをしています。
そんな状況では対象者の方が、その時に感じている色々な感情を私にぶつけてきます。
病に対して恐怖している
病になんて負けないと思っている
早く退院してやりたいことをしたい
そして、、、多いのが早く死にたいという訴え
生きている以上、色々な感情がその方を支配することは珍しくありません。
病院という場所柄、私のもとに届く感情には負のものが多いのです。
そのような方の経過の傾向として、退院までの期間が長引いたり、体力が上がらず自宅復帰できなかったり、人生の幕を閉じてしまったり、、、
体調が悪くて入院してしまったのだからある種仕方がないことかもしれませんが、それにしても負の感情を抱く方が多いと思います。
それがなぜなのか、私が担当させていただいていたある患者様の一言で納得した部分がありました。
その言葉が、
「この服、私のじゃないわ。こんな服いらないわ。」
このとき着用していたのが、病衣です。
その方は、オシャレにも気を配っている方で、院内でも私服を着て、化粧をし、髪型も毎日セットしていました。
リハビリテーションを提供させていただいたときも、負の感情など1mmもみせずに取り組む姿がそこにはありました。
病状としては決して良いとは言えなかった状態ですが、ADL(日常生活動作)はみるみるうちに改善の一路を辿り、早期退院が実現したのでした。
そんな方の発言だからこそ、気付けたのかもしれません。
”病衣は病人が着るもの”
あの発言は暗にそう込められた、メッセージだったように受け取れました。
この学びがあったからこそ、病院で”病人をつくる”のは良くないなと考え、また、ヒトの心も持ちようで人生が大きく変わっていくことを知ることができました。
病衣は入院しているという証であり、”病人”のレッテルでもあります。
例えば、
スーツやドレスなどを普段着ない人が着たときに、姿勢がいつも以上にピンと伸びた気持ちになる
パジャマを着ると眠気が増す
試合のときにユニフォームを着るとやる気がみなぎる
など、ヒトは着ている服によって心理状態や姿勢などに左右されることがあります。
それと同様に、病衣を着れば、病人となってしまうのです。
衣装はその人の心を移します。
と同時に、人の心は衣装によって変わるのです。
ならば、あなたができることは明確ですよね。
病人を作りたくないのであれば、病衣を着るのをやめればいい。
さすがに、それはダメなのであれば、リハ中だけでも私服でいてもらえるように図ってみてはどうでしょうか。
他にも、上着を着る際には私服を羽織っていただけるようにしてみてはいかがでしょうか。
それが難しいのであれば、せめてスカーフや靴下など、小物でその人らしいアイテムを取り入れるようにしてみてください。
※組織の運営上、病衣でいることが望ましいと言われる可能性もあるため、上司の許可を取っておくことは必須です。
そうすれば、心から病人となってしまうヒトを少なくすることができます。
退院までの経過も良くなるかもしれません。
セラピストとしてメンタルをケアすることは、大切なコンディションのコーディネートとなります。
「病衣をなるべく着ないようにする」ことが、その一訳を買ってくれることでしょう。
私の病院では患者様やリハ科の上司、病棟の看護師さんに許可を得て、ジャージや私服でリハビリテーションをしてもらっているかたが、多くいらっしゃいます。
その取り組みをしてからは、どことなく活気も溢れ、賑やかな雰囲気になりました。
そんな雰囲気が患者様の心にも伝播するのか、最初は落ち込み気味だった方も、徐々に心を開いてくれることがあります。
取り組みとしては些細なことかもしれませんが、効果は大きいと私は感じています。
よかったら試してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
引き続き『リハぶっく』をお楽しみください。