こんな未来を想像してみよう!
自信持って、今やってるマッサージは悪くないと言える!

「マッサージ屋と理学療法士の違いって?」
「理学療法士の仕事ってもみもみしてるだけでいいの?」
「マッサージって臨床でめちゃくちゃ使ってるけど、学校で習ってないよ?」
こんなことを疑問に思いながら通っていた実習。
とある実習では、もみもみばっかの人が非難されているのにも関わらず、もみもみばっかしていた人がバイザーでした。
直接ご本人に、もみもみばっかしている理由を聞いて良いものなのかもわからず、、、
結局何も聞けないままそこでの実習を終えてしまったことがあります。
理学療法士業界の中では、もみもみばっかでも立派な理学療法士として働いている人がいる一方で、それを非難している人もいます。
正直、学生さんにとっては、なにがなんだかわかりませんよね。
結局マッサージってどうなのよ?
ということで、今回の記事では理学療法士業界でよく問題に挙がる『マッサージ問題』について言及していきます。

こんな方におすすめ!
- 理学療法士業界で”マッサージ”がなぜ問題に挙がるのか知りたい!
- マッサージ屋さんと理学療法士の違いを知りたい!
- マッサージの効果を知りたい!
もくじ
理学療法士業界のなかでも度々トレンドになる『マッサージ問題』
古来より伝わるマッサージ。
その効果は大きく、一般の方でもわかるほど認知されています。
そのため、理学療法においても、そのマッサージという物理療法を一つの手段として使って、治療行為をする場合があります。
ただ、このマッサージはその効果とは裏腹に、理学療法士の中では”問題”とされることが多いのです。
なぜ理学療法士業界では『マッサージ』が問題視されるのか?
では、なぜ効果のあるマッサージが問題視されてしまうのでしょうか?
それは、
《理学療法=マッサージ》
《リハビリ=マッサージ》
というイメージが先行しすぎてしまったが故に、治療の選択肢が狭まってしまったからです。
というのも、患者様の抱くこのイメージが強すぎて、理学療法士が行う治療方法の一つである”運動療法”をしようとしても、患者様から”マッサージ”を要求されてしまうことが多いのです。
これでは、その方に効果的であろうと考えた治療法をいくら提示しても、その方がその選択を取らない、つまりマッサージのみを希望することが容易に考えられると思います。
※これを俗に『もみもみ療法』と言います。
そのため、効率的な治療ができず、結局「あの人は信用がならない」「あそこへ行っても、ちっともよくならない」なんて評判にも繋がってしまうこともあります。
マッサージはあくまで理学療法士が行う治療の一つであり、それが全てではありません。
詳しくはこちらの記事
-
-
【解説】リハビリテーションと理学療法の違いを知ろう!
先日こんなアンケートをしました! あなたは、『理学療法』と『リハビリテーション』の違いを説明できますか? 【恒例のアンケート】 あなたは、 『理学療法』と『リハビリテーショ ...
それを自分のためにも、ほかの理学療法士のためにも、そして、これからの理学療法士のためにも、世間との認識のズレに関しては修正する必要があると、私も思います。
そうすることで、理学療法士としての”質”や”価値”を高めることにつながるのではないかと考えています。

マッサージ賛成派と否定派の意見
ただし、上述したようにマッサージの全てが悪いというわけではありません。
そこで、マッサージについて 賛成/反対 それぞれの意見を伺ってみましょう。
マッサージ賛成派の意見
「EBM・ICに則り行っている!」
「即時的にも効果がある!」
「痛みや不調は機能面だけではなく、心にも問題があることも多い!」
マッサージ否定派の意見
「リハビリはマッサージ屋さんじゃない!」
「もみもみしているだけのリハビリなんてありえない!」
「根本治療になってない!」
「マッサージ依存症を量産しているだけだ!」
こうしてそれぞれの意見を聞いてみると、現役で理学療法士をしている身からすると、どちらの意見も”正論”であるということが理解できるのです。
たしかに、マッサージだけで良くなる方も、そうでない方もいます。
そのため、どちらが”正解”なのかに関しては、なんともいえないのです。
結局マッサージはいいもの?悪いもの?
つまり、マッサージ自体はいいものでもあるし、悪いものでもあるのです。
マッサージの具体的な効果についてはこちらをご参照ください。
-
-
【勘違い注意】"理学療法士はマッサージする人”という固定概念をなくそう。
以前こんなツイートをしました。 一時期"触れないリハビリ"なるものが流行りましたが、最近は聞かれなくなりましたね。 詳しく知りませんが、なるべく"触れない"というのは私も意識していることです。 触れる ...
ただ、一つ言えることとしては、
「その理学療法士の選択に対して、患者様が満足し、QOLが上がっているのであれば、それは文句を言えない」
ということです。
例え、痛みの改善が一時期的ゆえに、毎日のように通っていて、お金も時間もたくさん使っていたとしても、本人がそれを許容していれば何の文句も言えないのです。
だって、そのPTが行う理学療法を評価するのは、ほかのPTではなく、そのリハビリを受けている患者様なのですからね。

つまり重要なのが、そのマッサージ中心のリハビリテーションを選択した方が”その治療に対してどう思っているのか”なのです。
そこには、人の価値観が反映されます。
この価値観に関しては、
『”正論”があったとしても、”正解”はない』
のですから、一概にマッサージが良いor悪いの判断はできませんよね。
価値観については、こんな記事も参考にしてみてください
-
-
EBMをアップデートせよ!患者様の価値に基づく医療『VBP』とは?
「患者様の気持ちに寄り添いたい、、、」 「患者様にしっかり向き合いたい!」 「最適な医療を提供したい!」 こんなことを漠然と思い描いていた学生時代。 しかし、臨床では患者様一人一人によって ...
マッサージ否定派の懸念
もちろん、マッサージ否定派だって、全くマッサージをしないわけではありません。
しっかりとした意図があり、その選択がより良い結果を生むであろうと考えたときには、その選択肢を提示します。
ただ、マッサージのみのリハビリは極力避けたいところです。
冒頭でも触れたように、マッサージのみの通称もみもみ療法は、マッサージ依存症を量産してしまう可能性もあります。
というのも、医療機関を受診するほどの痛みを抱えている方の多くは、マッサージだけでは根本治療にはなりません。
すなわち、何度も、下手したら永久に、そこへ通うことになり、医療から卒業できなくなる体質になってしまうのです。
これを意識して行えば正義をかざした悪行(悪徳商法)ですよね。
言い方が悪くなりますが、セラピストにとっては売上がそれで伸びるわけですから。

増して、別の機会で携わる理学療法士だって、もみもみのみを要求されると困ります。
何回か携わることができれば根本治療ができるのに、マッサージのみを要求されたが故に、少数回の介入で打ち切り。
それだけでなく、そのセラピストのクチコミも下がってしまう結果ともなりかねません。
こうした懸念もあり、マッサージが度々問題に挙がるのです。
この懸念に関しては、こちらの記事でより具体的に触れています。
-
-
リハビリテーションはマッサージ屋さんではない!マッサージ屋とリハビリの違いとは?
はじめに リハビリテーションをマッサージ屋さんと一緒にしないで。 そんな想いで今回の記事を綴っていきたいと思います。 この記事は医療従事者ではない、一般の方々にもご理解して ...
まとめ
何度も繰り返すように、マッサージ自体はとても良い効果を得ることができる治療法です。
否定されるものでもありません。
ただし、理学療法士の中ではその使い方に問題があると言われているのです。
多くの理学療法士は「マッサージ+運動」をすることで根本治療になっていくことを知っているはずです。
マッサージを行う目的は何?
それを行うにあたってのデメリットは?
それらも踏まえて患者様はどう思っているの?
これらをしっかりと考え、過用・乱用に注意して、適切な使い方をできるようにしていけるといいなと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
引き続き『リハぶっく』をお楽しみください。